萩原朔太郎「月に吠える」自序より
人間は一人一人ちがった肉体とちがった神経をもって居る。我のかなしみは彼のかなしみではない。彼のよろこびは我のよろこびではない。
人は一人一人では、いつも永久に、永久に、恐ろしい孤独である。
原始以来、神は幾億万人といふ人間を造った。けれども全く同じ顔の人間を、決して二人とは造りはしなかった。人はだれでも単位で生れて、永久に単位で死ななければいけない。
人間は一人一人ちがった肉体とちがった神経をもって居る。我のかなしみは彼のかなしみではない。彼のよろこびは我のよろこびではない。
人は一人一人では、いつも永久に、永久に、恐ろしい孤独である。
原始以来、神は幾億万人といふ人間を造った。けれども全く同じ顔の人間を、決して二人とは造りはしなかった。人はだれでも単位で生れて、永久に単位で死ななければいけない。