愛を諦めろ!全国魔法使い連盟

自分は単独者である。にもかかわらず、社会のなかで他者と生きる。

田中英光「地下室から」より

私たちはどうせ死ぬのだ。あるいは生きているうちに、ユートピアの社会が来たにしても、人間には肉体的満足だけでは、どうにもできない生れながらの不幸があるはずだ。私たちは、めいめいがひとに知られぬ地下室を持っていて、その不幸に堪えるためには、生涯の多くの時間を、孤独にその中で暮さねばならぬのだ。人間に生れたというだけでも、愛し憎み、そして死なねばならぬ。この死に至るまでの病を治すものはまた、死よりほかないのである。