愛を諦めろ!全国魔法使い連盟

自分は単独者である。にもかかわらず、社会のなかで他者と生きる。

小山清「落穂拾い」より

 僕は一日中誰とも言葉を交わさずにしまうことがある。日が暮れると、なんにもしないくせに僕は疲れている。一日だけのエネルギーがやはりつかい果されるのだろう。額に箍を締められたような気分で、そしてふと気が付く。ああ、きょうも誰とも口をきかなかったこと。これはよくない。きっと僕は浮腫んだような顔をしているに違いない。誰とでもいい。そしてふたこと、みことでもいいのだ。たとえばお天気の話などでも。それはほんのちょっとした精神の排泄作用に属することなのだから。