愛を諦めろ!全国魔法使い連盟

自分は単独者である。にもかかわらず、社会のなかで他者と生きる。

武田泰淳「滅亡について」より

 絶対的な勝利者、絶対的な優者、およそ絶対的なるものの存在が耐えがたいのだ。自分がダメであり、そのダメさが決定され、記録され、仲間の定評になってしまったのに、ダメでないものが存在し、しかもその存在がひろく認められ、その者たちが元気にあそびたわむれていることが堪えがたいのだ。たとえその者たちが、自分の存在に気づき、自分のそばに歩みより、やさしく声をかけてくれたところで、このあわれな小学生はソッポを向き、涙を流すまいと歯を食いしばりながら「チェッ」と舌打ちをするだけである。

 滅亡を考えるとは、おそらくは、この種のみじめな舌打ちにすぎぬのであろう。