2018-12-11から1日間の記事一覧
もう三月であった。その日一日じゅう、鬼に責められた彼は夜になると勇気を出して、よろめきながらも銭湯へ出向くことにしたが、今度は大人連までもがじろじろと自分を見詰めているようであった。こんな異邦人のような寂しい気持ちはいったい何処から来るの…
僕は、いま糸の切れた凧のようにふわふわと空中を漂う、位置も重みもない架空の一点に過ぎない。一つの自由意思という抽象的な存在に化しているのだ。だから、名前もない。役目もない。話しかけられもしない。決定を要求されもしない。特定の学校の生徒でも…