愛を諦めろ!全国魔法使い連盟

自分は単独者である。にもかかわらず、社会のなかで他者と生きる。

パスカル

死から逃れられない、弱い、生まれながらの人間の不幸は、みじめな限りで、状況をよく考えれば、人間がなにかによって慰められるというようなことはありえない。

出典不明①

誰も僕のことを知らない 人と話すのが重力に逆らうより辛い

小山清「落穂拾い」より

僕は一日中誰とも言葉を交わさずにしまうことがある。日が暮れると、なんにもしないくせに僕は疲れている。一日だけのエネルギーがやはりつかい果されるのだろう。額に箍を締められたような気分で、そしてふと気が付く。ああ、きょうも誰とも口をきかなかっ…

田中英光「地下室から」より

私たちはどうせ死ぬのだ。あるいは生きているうちに、ユートピアの社会が来たにしても、人間には肉体的満足だけでは、どうにもできない生れながらの不幸があるはずだ。私たちは、めいめいがひとに知られぬ地下室を持っていて、その不幸に堪えるためには、生…

田口完治「現代学生気質」より

さびしいのです。孤独なのです。いつも私は自分のカラに閉じこもっています。 ふだんは快活で、素直ないい子ちゃんの仮面をかぶっています。 でもほんとうの私は、そんなものではないのです。 自分にもよく分かりませんが、もっとずるくて、利己的な、いやな…

小野不由美「屍鬼」より

どうしてなのかは分からない。 彼はその丘で異端者だった。 それがいつから始まったことなのか、彼にも分からない。まるで生来、付与された性質のように、記憶にある限り最初から、彼と世界の関係は決定していた。 不幸な隣人に手を差し伸べれば、彼が手を伸…

ジョン・バース「暗夜海中の旅」大津栄吉郎訳より

おれそのものが実在しているのか、それとも夢にすぎないのか、ときどき疑ってみることもある。それにおれが実在するとすると、おれとは誰なのか?後世に向かって運んでるとされる遺伝形質のことだろうか。だがどうしておれは運ぶ器であると同時に運ばれる中…