萩原朔太郎「虚無の歌」より
ああ神よ!もう取返す術もない。私は一切を失い尽した。けれどもただ、ああなんという楽しさだらう。私はそれを信じたいのだ。私が生き、そして「有る」ことを信じたいのだ。永久に一つの「無」が自分にあることを信じたいのだ。
神よ!それを信ぜしめよ。私の空洞(うつろ)な最後の日に。
ああ神よ!もう取返す術もない。私は一切を失い尽した。けれどもただ、ああなんという楽しさだらう。私はそれを信じたいのだ。私が生き、そして「有る」ことを信じたいのだ。永久に一つの「無」が自分にあることを信じたいのだ。
神よ!それを信ぜしめよ。私の空洞(うつろ)な最後の日に。